
監修:
私たち訳あり物件管理センターは35年以上にわたり、いわゆる訳あり物件に特化した不動産取引を行ってまいりました。特に立退きトラブルや事故物件を代表とする空室問題は非常に深刻で、自社所有物件も含めて幾度となく対応してまいりました。経験を積み重ね、蓄積してきたノウハウをもとにオーナー様に役立つ情報を発信し続けます。
マンションの管理会社に不安を抱えていませんか?サービス品質やコスト、住民対応などに関する不満をきっかけに管理会社の変更を検討されるオーナーや理事の方が増えています。
この記事では、マンション管理会社の変更に必要な基礎知識から具体的な手続きの流れ、選定ポイント、費用相場、トラブル防止策までを徹底解説。
これからのマンション管理を安心・納得の形にするために、ぜひお読みください。
- 管理会社の変更手順は管理会社だとかなり大変ですが、個人オーナーであれば意外と簡単にできちゃいます。
- 契約書周りの整理や入居者への説明など、難しくはないが手間がかかるポイントは丁寧に進めましょう。
- 悪質な管理会社から変更したい、急いで変更先を見つけたいなど、それぞの場合で注意すべきポイントが変わります。

すべて表示あなたの状況により管理会社変更の手順は異なる
マンション管理会社の変更手順は、オーナーの立場や状況によって大きく異なります。
管理組合がある分譲マンションの場合は、所有者全員の合意形成や総会での決議が必須となり、手続きも複雑になりがちです。
一方、個人オーナーが一棟所有する賃貸マンションであれば、変更にあたって自身が主導しやすく、意思決定から実行までのハードルは低くなります。
また、「コスト削減のため」「現在の担当者や管理費に不満があるため」「管理会社が急に解約・倒産したため」など、目的やトラブルの種類によっても必要な対応が異なります。
それぞれの状況に合った最適な手順を理解し、スムーズな管理会社変更を実現しましょう。
【管理組合向け】マンションの管理会社変更手順
分譲マンションの場合、管理会社の変更は「理事会」「総会」などを通じた合意形成と段階的な手続きが必須です。
管理費や委託費への不満、担当者やサービス品質への不安、契約書内容の見直しなどをきっかけに変更を検討するケースが多いですが、複数の所有者の理解を得ながら、比較検討・現地調査・総会決議などを順に進める必要があります。
ここでは、管理組合が管理会社を変更する際の一般的な手順を、順を追って解説します。
現状のマンション管理会社の問題点を整理
最初のステップは、現在の管理会社の問題点や不満を洗い出すことです。
たとえば「管理費や委託費が高い割にサービスが良くない」「担当者の対応が遅い」「清掃や点検が雑」「入居者からのクレーム対応が不十分」「理事会や住民への説明が不親切」など、現場で感じている不満やトラブルを理事会メンバー間で共有しましょう。
議事録やアンケートなどで証拠を整理し、現状の課題を明文化することが重要です。
これにより、「何を改善したいのか」「どの部分に優先度があるのか」がはっきりし、次の管理会社選定や見積もり依頼の際にも要望を明確に伝えやすくなります。
また、問題点の整理は住民への説明や総会決議の際にも、変更理由を客観的に示す根拠となります。
マンション管理会社の選定
問題点を整理したら、新たに依頼する管理会社の候補を探します。
管理業界には大手から中小、あるいは地域密着型や特化型までさまざまな管理会社が存在しますが、「実績」「得意分野」「担当者の体制」「対応エリア」「委託費の水準」などの条件で絞り込みましょう。
インターネットや専門サイトで情報収集したり、理事会の知人・マンション管理士などのネットワークを活用してみるのも効果的です。
重要なのは、単なる価格比較ではなく、課題解決力やトラブル対応力も含めた総合力で評価することです。
マンションの規模や築年数、過去のトラブル実績に応じて適切な管理会社を複数ピックアップしておきましょう。
見積もりの依頼
候補が決まったら、それぞれの管理会社に具体的な条件・要望を伝え、見積もりを依頼します。
依頼の際には、現在の委託内容や問題点、改善したい点などもあわせて提示することで、よりご自身に合った提案を引き出しやすくなります。
見積もり依頼書には「管理費・委託費の内訳」「担当者の体制」「定期清掃や設備点検の頻度」「緊急対応やトラブル時のサポート」「入居者・理事会への連絡方法」などを盛り込むと、会社ごとの提案内容やコストを公平に比較できます。
複数社から見積もりを取り寄せることで、相場感をつかむことができ、内容面での交渉や改善提案も受けやすくなります。
見積金額と提案内容の比較検討
見積もりが揃ったら、単純な金額の安さだけでなく、提案内容や管理サービスの質もあわせて比較検討しましょう。
たとえば「担当者の変更頻度」「トラブル時の即応体制」「設備点検の詳細」「定期レポートの内容や頻度」など、管理の質に大きな差が出るポイントをよく確認してください。
また、管理委託料が5%を大きく下回るような安すぎる管理会社には注意が必要です。
安さを追求しすぎると、質が低いサービスしか受けられず、後から不満やトラブルが増えるケースも多く見受けられます。
コストと品質のバランスを意識し、理事会で十分に協議してから候補を絞りましょう。
現地調査会の開催
比較検討が進んだら、実際に候補の管理会社に現地を見てもらい、現場調査会を開くのが一般的です。
この場で建物の現況や設備の状態、清掃の範囲、担当者による日常管理の流れなど、具体的な運用イメージを直接確認できます。
理事会や担当者が同行し、普段から感じている悩みや課題をその場で伝えると、管理会社側もより現実的な提案をしやすくなります。
現地調査を経て、「提案通りの運用が本当にできるのか」「現場ごとの事情に柔軟に対応できる会社か」などを見極めましょう。
調査内容や所感は理事会内でしっかり共有し、次のプレゼンや候補絞り込みの材料にしてください。
候補会社の絞り込み
現地調査や提案内容の比較を踏まえ、最終候補を2~3社程度に絞り込みます。
その際、理事会で「重視するポイント」を改めて確認し、現状課題への対応力や、今後の改善提案の具体性などをチェックします。
ほか、担当者の対応の良し悪しや、入居者や理事会とのコミュニケーション力、緊急時の対応なども比較ポイントになります。
必要に応じて、担当予定者との面談や実際の運用事例のヒアリングを行うと、より判断がしやすくなります。
管理会社の決定にあたっては、理事会内でしっかり合意形成を図りましょう。
プレゼンテーション開催
最終候補の管理会社によるプレゼンテーションを開催し、それぞれの会社が管理体制や課題解決策について直接説明を受けます。
理事会や住民が参加し、質疑応答や不安点の確認も行います。
プレゼンでは、提案内容の実現性や現場での具体的な対応力、緊急時のサポート、入居者への配慮など、書面だけでは分からないポイントを直接質問できます。
理事会や住民からの要望や懸念点にどう答えるかをチェックしましょう。
実際に担当者と顔を合わせることで信頼感が生まれ、選定後のトラブルも防ぎやすくなります。
総会決議
プレゼンを経て最終候補を選定したら、総会で正式に決議を行います。
分譲マンションの場合は、所有者の過半数以上の同意が必要です。
総会前には、これまでの経緯や現状の課題、候補会社の比較内容、変更による効果やリスクなどを資料としてまとめ、全員が納得できる説明を心がけましょう。
決議の結果、管理会社の変更が承認されれば、次は契約や引き継ぎに進みます。
総会の議事録や決議書は後のトラブル防止や手続きの証拠にもなるため、しっかり保存しておくことが大切です。
解約通知書の送付
新しい管理会社が決まったら、現行の管理会社に対して正式な解約通知書を送付します。
ほとんどの場合、管理委託契約書には「解約の3か月前までに解約通知を行う」といった条項がありますので、その期限を守って通知することが必要です。
解約通知書には、契約終了日や引き継ぎ日程、必要な手続きなどを明記しましょう。
解約の意思を明確に伝えることで、現行会社側も事務手続きや書類の整理、入居者への通知などの準備を始められます。
通知が遅れると、管理が空白期間となりトラブルの原因にもなりますので、スケジュール管理は徹底してください。
現行のマンション管理会社と管理委託契約を解約
解約通知後は、現行管理会社と契約終了に向けた具体的なやり取りを行います。
解約日までに管理費や委託費の清算、入居者への管理会社変更通知、各種書類や鍵の返却など、必要な準備を進めます。
管理会社側と引き継ぎリストを作成し、未処理の案件やトラブルが残らないように整理しておくとスムーズです。
担当者と連携し、不明点や疑問点はその都度確認しましょう。
解約に伴うトラブルや費用請求についても、契約書の内容に沿って冷静に対応することが重要です。
新マンション管理会社と管理委託契約を締結
現行管理会社との契約終了と並行して、新しい管理会社との管理委託契約を正式に締結します。
契約書には、委託する業務内容や管理費・委託費、担当者の体制、入居者対応、トラブル時の連絡方法など、詳細な取り決めを明記しておきましょう。
また、契約書の内容は理事会全員で確認し、後のトラブル防止のために疑問点は契約前に解消しておきます。
特に「緊急対応」「清掃・点検の範囲」「報告書の提出方法」などは細かくチェックし、契約後に「話が違う」とならないよう注意しましょう。
新旧管理会社による引き継ぎ
契約が締結されたら、新旧管理会社による引き継ぎ作業を実施します。
理事会も立ち会いのもと、書類や鍵の返却、未処理案件、入居者情報、設備の点検記録など、すべての業務内容をリストアップし、漏れなく引き継ぐことが重要です。
引き継ぎはトラブルの多い場面なので、「受け渡しチェックリスト」や「引き継ぎ台帳」を活用し、確認漏れがないように進めましょう。
疑問点や不明な点はその場で明確にしておくことで、後々のトラブル防止につながります。
新管理会社による管理開始
すべての引き継ぎ作業が完了したら、新しい管理会社による正式な管理がスタートします。
管理会社側から入居者や理事会へ、管理開始の挨拶や担当者・緊急連絡先の通知が行われますので、住民への情報共有も忘れずに実施してください。
また、最初の数か月は新旧業務の違いや運用上の疑問点が出やすい時期ですので、理事会と管理会社で定例の打ち合わせや報告会を設けるのがおすすめです。
管理開始後も定期的に運用状況を確認し、気になる点があれば早めに相談・改善を依頼しましょう。
【個人オーナー向け】賃貸マンションの管理会社変更手順
一棟所有の賃貸マンションを運営している個人オーナーであれば、管理会社の変更は比較的スムーズに進めやすい傾向があります。
理事会や総会などの合意形成が不要なため、オーナー自身の判断で管理会社の選定・契約解除が可能です。
しかしその反面、管理費や委託費の適正さ、担当者の質、契約内容など、ご自身でしっかり見極めて対応することが求められます。
ここからは、個人オーナーが賃貸マンションの管理会社を変更する際の主な手順を解説します。
現状の問題点の整理
まずは現在の管理会社との契約内容や運用実態を見直し、問題点を整理しましょう。
たとえば「入居者募集や賃料回収が遅い」「修繕や清掃の質が悪い」「担当者の対応が悪い」「管理費や委託費が高い」など、オーナーとして困っている点を書き出してください。
過去の契約書や管理資料、入居者からのクレーム記録なども見直し、改善したいポイントや要望を明確にすることで、次の管理会社選定がスムーズになります。
新しい管理会社の選定・見積もり取得
問題点が整理できたら、新しい管理会社の候補を探し、具体的な条件で見積もりを依頼します。
管理会社の管理実績、対応エリア、担当者の対応、管理費・委託費の水準、トラブル対応力などを比較しましょう。
インターネットや同業者の口コミ、管理会社のウェブサイトなどで情報収集し、最低2~3社から見積もりを取得してください。
見積内容の詳細や、入居者・オーナーへのサポート体制も重要なチェックポイントです。
契約条件の確認・締結
新しい管理会社を決めたら、契約内容をしっかり確認した上で契約を締結します。
契約書には「管理費や委託費の明細」「入居者管理の体制」「清掃や点検の頻度」「トラブル対応のフロー」などをしっかり明記してもらいましょう。
後々のトラブルを防ぐためには、疑問点をすべて契約前に担当者に確認し、あいまいな部分を残さないことが大切です。
契約書の控えや資料は必ず保管しておきましょう。
現管理会社との契約解除通知
新管理会社との契約が決まったら、現在の管理会社に対して正式に契約解除の通知を出します。
契約書で定められた通知期間(多くは1~3か月前)を確認し、期限を守って手続きを進めてください。
また、契約解除後の引き継ぎや未処理案件、入居者への通知についても、忘れずに管理会社と相談しましょう。
円滑な解約とトラブル防止のためにも、丁寧な対応を心がけてください。
引継ぎと新会社による管理開始
最後に、新旧管理会社間で必要な書類・鍵・情報などの引き継ぎを行い、新しい管理会社による管理を開始します。
引き継ぎ時には入居者情報、修繕・点検履歴、未処理案件などが漏れなく伝わるよう、オーナー自身も立ち会いましょう。
引き継ぎが終わったら、新会社から入居者への連絡や管理開始の案内を行い、正式な管理スタートとなります。
管理開始後も定期的に運営状況を確認し、疑問点や不安があれば新会社に早めに相談してください。
管理会社変更におけるポイント
管理会社の変更を成功させるためには、手順やスケジュールだけでなく、トラブル事例や選定基準、契約書のポイントなども事前に押さえておく必要があります。
また、悪質な管理会社との契約を解除する場合や、急ぎで新しい管理会社を探さなければならない場合など、状況ごとに想定すべき注意点もあります。
ここからは、管理会社変更にあたって特に気を付けたいポイントや、よくある落とし穴について詳しく解説します。
変更を進める際の主なポイント
管理会社の変更には計画性と情報共有が不可欠です。
まず現状の不満や課題を理事会やオーナーで明文化し、次に候補管理会社の比較、見積もり取得、現地調査と段階を踏んで進めます。
また、トラブル事例を事前に調べておくことも重要です。
「解約時に違約金を請求された」「引き継ぎが不十分で入居者や設備管理に混乱が生じた」「担当者が途中で変わりサービスの質が低下した」など、過去のトラブルを知ることでリスク回避策を講じやすくなります。
契約書や委託費の条件も細かくチェックし、理事会・オーナー・入居者間の情報共有を徹底しましょう。
トラブル事例については、こちらの記事でさらに詳しくご紹介しています。
悪質な管理会社から変更するときのポイント
悪質な管理会社との契約解除では、トラブルを避けるためにも冷静で丁寧な対応が求められます。
感情的な言動や対立を避け、事実に基づいたやり取りを心がけてください。
また、新しい管理会社にも現状や過去のトラブルを詳しく説明し、引き継ぎ内容や注意点を共有しておきましょう。
新会社はトラブルの再発防止策を提案できることが多いため、相談しながら段階的に運用改善を進めることが大切です。
契約書や資料は証拠として必ず保管し、万が一の時は弁護士や管理士など専門家の助言も利用しましょう。
管理会社選定のポイント
管理会社を選ぶ際は、「成果報酬型」の会社や「管理委託料が5%以下」といった安さばかりを売りにしている会社には注意が必要です。
成果報酬型は一見メリットが多いようですが、実際にはサービスの質やトラブル対応が後回しになることもあります。
また、極端に安い管理委託料は人員不足や必要な点検や対応が省略されるなどのリスクを孕みます。
料金の安さだけでなく、実績・担当者の対応力・管理内容・入居者へのサポート体制など、総合的な観点から信頼できる会社を選びましょう。
契約書でサービス内容を確認し、不明点は事前に質問することがトラブル防止に繋がります。
急いで管理会社を見つけないといけない場合のポイント
管理会社の突然の倒産や一方的な解約通告など、急いで新しい管理会社を見つけなければならないケースもあります。
その場合は、まず契約書や管理資料の整理が最優先です。
物件の設備情報や入居者リスト、未処理案件や修繕履歴などを一覧化し、スムーズな引き継ぎに備えましょう。
複数社に同時に見積もりを依頼し、価格やサービス内容を比較することも大切です。
焦って一社だけに決めてしまうと後悔することもあるため、必ず数社から条件を比較検討してください。
契約締結後の引き継ぎ時には、オーナーや理事会が立ち会い、疑問点はその場で確認しましょう。
事前に相談するのがおすすめ
管理会社の変更は、思った以上に手間や確認事項が多いものです。
初めて手続きを行う場合や、過去にトラブルを経験したことがある場合は、事前に専門家や信頼できる管理会社に相談するのがおすすめです。
現状の問題点や契約内容のチェック、見積もりの取り方、引き継ぎ時の注意点などをアドバイスしてもらうことで、無用なトラブルや失敗を防げます。
訳あり物件管理センターでは、無料でご相談を受け付けています。
管理会社変更を検討中のオーナー様、所有物件でトラブルを抱えられている方、他の管理会社に断られてしまったという方は、ぜひお気軽にご相談ください。
マンション管理会社変更に関するQ&A
マンション管理会社の変更に関して、弊社によく寄せられる疑問を整理しました。ぜひ参考にしてください。
Q1管理会社変更の検討開始から新しい会社との契約開始まで、一般的にどれくらいの期間がかかりますか?
半年から1年程度が一般的です。候補選定(3ヶ月)、総会準備(1〜2ヶ月)、現会社への解約通知期間(3ヶ月)などを考慮する必要があります。弊社では最短で進められるようサポートも可能です。
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「一式」で記載されている項目がないか確認し、管理員費用や事務管理費用などの内訳を詳しく聞きましょう。
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はい、もちろんです。訳あり物件管理センターは、小さなお悩みの段階からご相談を承りますので、お気軽にご連絡ください。

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